[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <3面>

[米国] 多国間管理構想に改めて反対 DOE副局長が言明

【ワシントン21日共同】米エネルギー省(DOE)傘下の核安全保障局(NNSA)のロングズワース副局長(核不拡散担当)は20日、IAEAが提唱するウラン濃縮・再処理施設の国際管理構想に反対を表明。原子力供給国グループ(NSG)主導の国際企業体創設など、民間のエネルギー産業を巻き込んだ新たな枠組み構築を目指す方針を強調した。

 共同通信とのインタビューで語った。

 IAEAは、青森県六ヶ所村の再処理施設など全世界8〜10か所の施設を国際管理下に置き、地域の事業拠点化を目指す構想を描いているが、副局長はこうした「多国間アプローチ」では経済的に採算が合わない恐れを指摘。NSGという「有志国連合」での合意形成を図りながら、米エネルギー業界主導で、核燃料供給体制の確立を目指すブッシュ政権の意図が明白になった。

 副局長は濃縮・再処理の新規事業などの「禁止」が、核拡散を防ぐ「最も確実な方法」と指摘。そのためには、自前で核燃料を製造できない国への供給を確保する「エネルギー安全保障の保証」が必要と言及した。

 具体的な供給体制に関しては「NSGを通じて商業的に採算の取れる方法を取らなくてはならない」とし、NSGや日米など供給能力のある政府の支援で国際企業体を構築する選択肢に言及。エネルギー産業など民間を議論に参加させ「経済性」を重視した枠組み構築を目指す意向を強調した。


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