[原子力産業新聞] 2005年8月4日 第2294号 <1面>

[原子力委・新計画策定会議] 「原子力政策大綱」とりまとめ

 原子力委員会・新計画策定会議は7月28日、第31回会合を開催(=写真)、原子力政策大綱案を取りまとめた。2030年以後も発電電力量の30〜40%程度かそれ以上の役割を原子力が担うことが適切、使用済み燃料の再処理を基本方針とする核燃料サイクル政策の推進、2050年頃からFBRを商業ベースで導入などを明記。基本施策を示すことを明確にするため、従来の「長期計画」から「原子力政策大綱」に名称変更する。 原子力委員会・新計画策定会議は7月28日、第31回会合を開催、原子力政策大綱案を取りまとめた。2030年以後も発電電力量の30〜40%程度かそれ以上の役割を原子力が担うことが適切、使用済み燃料の再処理を基本方針とする核燃料サイクル政策の推進、2050年頃からFBRを商業ベースで導入などを明記。基本施策を示すことを明確にするため、従来の「長期計画」から「原子力政策大綱」に名称変更する。

 

 原子力政策大綱案は共通理念、基盤的活動、原子力利用、研究開発、国際的取組み、活動の評価の六章により構成。共通理念では安全の確保、地域社会との共生などの必要性を強調。基盤的活動では共通理念への取組みをより具体的に記述。安全の確保で国や事業者の責任、運転管理の継続的改善、高経年化対策など、地域社会との共生で透明性の確保、国と地方の関係などを示した。

 原子力利用では、エネルギー供給のベストミックスを追求するには、2030年以後も発電電力量の30〜40%程度かそれ以上の役割を原子力が担うことが適切と記述。その指針として新規立地への取組み、2030年前後からの改良型軽水炉によるリプレース、2050年頃からの商業ベースでのFBRの導入などを示している。

 核燃料サイクルでは直接処分を含む四つのシナリオについて、10項目の視点からの評価を詳細に記述。再処理で回収するプルトニウム、ウラン等の有効利用を基本方針とし、サイクルの自主性を確実にするため再処理は国内を原則とする。また、当面はプルサーマルを推進、中間貯蔵された使用済み燃料や使用済みMOX燃料の処理の方策は、2010年頃から検討を開始する。

 高レベル放射性廃棄物ではNUMOだけでなく国や電気事業者も適切な役割分担が必要とするとともに、TRU廃棄物との併置処分、海外からの単一返還を検討すべきとした。

 研究開発では基礎・基盤的研究、革新的技術の探索研究など各段階にある課題を並行して進めることが適切としている。

 「長期計画」から「原子力政策大綱」への名称変更は、今回の策定から原子力委員会が内閣府に属することになり、各省庁に対し基本的な施策の方向を示す役割が期待されている、との判断による。


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