[原子力産業新聞] 2005年8月4日 第2294号 <3面>

[米議会] エネルギー政策法案 上下両院が4年ぶり可決

 長年の懸案となっていた包括エネルギー法案について、米議会の両院協議会は7月26日、新規原子力発電所への投資推奨条項などを含む最終案「2005年エネルギー政策法」を採択、同法案を下院は28日、上院は29日にそれぞれ可決した。ブッシュ大統領が2001年5月に発表した国家エネルギー政策は、ようやく法的な裏付けを与えられたことになる。

 エネルギー政策法案は、下院では275対156、上院では74対26の多数で可決、署名のために大統領に送付した。ブッシュ大統領が求めていた八月の米議会休会前の法案通過が果たされた。

 両院協議会がまとめた最終案には、原子力発電に関連して、@新規原子力発電所が運開遅延した場合の補償A二酸化炭素を排出しない発電への投資インセンティブの創設Bプライス・アンダーソン法の20年間延長C発電・水素製造用新世代原子炉に12.5億ドル(1400億円)投入D新型原子炉研究開発の承認E原子力発電所セキュリティの強化F廃炉基金への拠出に対する税制の改正GDOEに原子力局担当の次官補職の創設――などが含まれている。

 エネルギー政策法は、新規原子力発電所の建設のさい、民間企業の力の及ばない理由で運転開始が遅れた場合、6基までの新規プラントについて、連邦政府が補償金を提供する。遅延による費用増を、最初の2基については5億ドルを上限として100%、3基目から6基目までは各々2.5億ドルを上限として50%を補償、運転遅延に対する保険とする。

 また、汚染物質や温暖化ガスを減少または放出しない「革新的技術」を用いた発電には、発電技術の区別なく、建設費の80%まで借入保証を行う。これによって、革新型原子炉やクリーンコール、再生可能エネルギーなどによる発電所建設投資へのインセンティブとする。

 米議会は2001年6月以来、エネルギー政策法を審議してきたが、ガソリン添加物MTBEの製造物責任問題や、アラスカでの石油・天然ガス開発解禁などが政治的な対立点となり、4年間にわたって法案は通過しなかった。しかし最近の石油価格等の高騰を受け、下院が四月、上院が6月にそれぞれのエネルギー政策法案を可決、両院協議会で相違点のすり合わせ等が行われてきた。


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