[原子力産業新聞] 2005年8月4日 第2294号 <3面>

[原電] 「教員の民間企業研修」実施 若手の先生10名が参加

 日本原子力発電は1日から3日間、「教員の民間企業研修」を東京・神田美土代町の本店などで実施した。東京都国分寺市内の小学校、中学校の20代前半から30代前半の教員10名が参加し、講義や職場体験などを通して、企業活動に対する理解を深めた。

 この研修は、経済広報センターが、小・中・高等学校の先生を対象として、企業活動を体験、その経験を授業を通じて子供達に伝えてもらおうと、1983年から毎年、学校の夏休み期間中に行っているもの。今年は88社が受け入れ、約600名の教員が各社に分かれそれぞれ3日間の日程で研修を受けている。

 原電は、99年から同研修制度に参加しており、短期間の中で業務実態や原子力について理解を深めてもらおうと毎回、プログラムに工夫を凝らしている。今回は、組織・業務の運営効率化や人材育成、エネルギー・原子力の基礎知識、発電所の建設と廃止措置についての講義や、放射線測定器を使っての体験学習、茨城県東海村の総合研修センター等の施設見学などが行なわれた。

 今回研修に参加した、国分寺市立第三小学校で音楽を担当する菅原絵理さんは、今年大学を卒業して教員になったばかり。社員一人一人が責任の重さを感じて仕事をしている姿に感動したという。「原子力については恐いイメージがあった」が、今回、放射線についての正しい知識や企業の安全に対する取り組みを知った。

 「電気はつくる人がいて、はじめて使うことができるという電気の大切さを子供達に伝えたい」。また、原子力施設の立地地域の人々に対する理解活動への取り組みなど、教員として勉強になったという。

 国分寺市立第七小学校の宇田川亮さんも、今回の研修で原子力の安全性に対する取り組みや正しい知識を学ぶことができて感謝しているという一人。子供達には、「原子力に限らず発電にはいろいろな方法があるが、原子力は資源を有効利用できる方法であること。環境に配慮した原子力のあり方を伝えたい」という。

 次世代を担う子供達へエネルギー教育をしていくためにも、「この研修で教師としてのバックボーンができた」と話すのは、国分寺市立第二中学校の板橋佳希さん。「今後、総合学習の時間で、原子力を取り上げてみたい。東京の子供達は近くに発電所がなく、原子力について漠然としたイメージしかない。まとまった時間がとれれば、原子力発電所の見学ができればいいと思う」と語っている。


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