[原子力産業新聞] 2005年8月4日 第2294号 <3面>

[ニュースタート社] サイト訪問 各州が強力に誘致合戦

 米国で新規原子力発電所の建設を目指すニュースタート社が、7、8月に6つの候補サイトを回り、説明を行っているが、すでに訪問したミシシッピ、ルイジアナ、メリーランドの3州からは、立地への強力な勧誘の声が上がっている。

 ニュースタートは、米原子力規制委員会(NRC)の建設・運転一括許認可(COL)を試行するため、5月に6つの州にある原子力施設6サイトを選んだ。同社の公式情報要求(RFI)に対して、全サイトが応じ、COL申請サイトへの誘致競争が激化している。

 ニュースタートは、エクセロン社など、原子力発電会社と、GE、ウェスチングハウスなどのメーカー等11社が結成しており、ウェスチングハウスのAP−1000とGEのESBWRをターゲットとして、原子炉設計を完成し、2008年中にCOLを、それぞれ少なくとも一か所ずつNRCに申請する意向だ。

 ニュースタートは5月に、@ベルフォンテ原子力発電所サイト(アラバマ州)Aグランドガルフ原子力発電所サイト(ミシシッピ州)Bリバーベンド原子力発電所サイト(ルイジアナ州)Cサバンナリバー・サイト(サウスカロライナ州)Dカルバートクリフス原子力発電所サイト(メリーランド州)Eナインマイルポイント原子力発電所サイト(ニューヨーク州)――の6サイトを候補地に選定。

 ニュースタートは7月下旬、ルイジアナ州経済開発局とミシシッピ州開発公社を訪問、各州はそれぞれの利点を売り込んだ。

 ルイジアナ州議会は6月、リバーベンド・サイトへの新規原子力発電所建設を支持する決議案を採択した。また、同州の公益事業委員会は7月28日、「ルイジアナでの電源として、原子力発電所の調査を支持する」と決議。ルイジアナ州が提供する様々な便益を考慮するよう求めた。

 K・ブランコ知事はAP通信に対し、「ニュースタートがルイジアナ州を選ぶことを、大いに期待している」と述べている。

 ルイジアナ州と激しい競争を繰り広げているミシシッピ州は、ニュースタートとの会合の後、開発公社が、このプロジェクトに強い興味を示すプレスリリースを発表。同州のH・バーバー知事は、「豊富で、安全、安価なエネルギーとクリーンな大気と水が、将来の経済および生活の質にとって重要」とし、「ニュースタートが新世代の原子力発電所サイトとしてミシシッピ州を考慮していることに興奮している」と述べている。

 ミシシッピ州開発公社のL・スピード専務理事によると、事業者に有利な同州の税制、高質な労働力、優れた生活の質など、同州へ投資する利点を積極的に伝えているという。

 一方、メリーランド州のカルバート郡は7月26日、カルバートクリフス・サイトを推薦する決議を行った。

 ニュースタートのサイト訪問チームは、8月中に、サウスカロライナ州、アラバマ州北東部、メリーランド州、ニューヨーク州北部を訪問する予定で、年末までにサイト選定を完了したい意向だ。


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