[原子力産業新聞] 2005年8月25日 第2296号 <1面>

[原子力委] 原子力政策大綱 「ご意見を聴く会」開く

 原子力委員会は18日に青森市、翌19日には福島市で、「原子力政策大綱(案)に対するご意見を聴く会」を開催した(=写真)。7月21日開催の新計画策定会議において取りまとめられた同大綱案について国民から意見を聴取し、寄せられた意見や要望を、新計画策定会議で反映させる。(詳細は4面に)

 「ご意見を聴く会」は、18日午後に青森グランドホテル、19日午後には福島ビューホテルで開かれた。原子力委員会からは、近藤委員長をはじめ、齋藤委員長代理、町委員、木元委員、前田委員が参加。平日にもかかわらず会場を埋め尽くした参加者から出される意見に耳を傾けていた。なお同会は、26日までの日程で、佐賀、福井、東京でも開催される。

 「原子力政策大綱」は、従来の原子力開発利用長期計画(長計)に代わるもので、国の今後十年程度の間に各省庁が進める原子力政策の基本的方向性を示す、いわばわが国原子力政策の骨格となるもの。昨年6月より「新計画策定会議」で検討され、第31回目の本会議となる7月21日に、大綱(案)が取りまとめられている。

 「聴く会」では、近藤委員長の大綱案に関する説明に続き、参加者が挙手により発言する形で、約2時間半にわたり行われた。

 会場から意見は、青森、福島会場ともに、地域振興・共生、エネルギー教育問題、正確な情報の発信等について、「国が先頭に立って行って欲しい」とする意見が多く出されるなど、両会場とも概して大綱に対する肯定的な意見が多くを占めた。

 一方で、否定的な意見としては、高経年化、燃料サイクルの実現性などに対する不信感を訴えるものや、さらには大綱中にある「『人は誤り、機械は故障する』ことを前提に多重の防護を用意する深層防護の考え方を」のくだりについて、「(安全だと言っていた)企業の説明と違う」(十和田市・女性)、「完璧でないなら、原子力はやめるべき」(いわき市・女性)など、表現の難しさを感じさせる意見も出された。

 青森、福島を含めて全国計五か所で開催される「ご意見を聴く会」の模様は、原子力委員会ホームページ(http://aec.jst.go.jp)から動画配信されている。


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