[原子力産業新聞] 2005年8月25日 第2296号 <1面>

[総合資源エネ調査会] 高経年化対策で報告書 ガイドライン整備など

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の高経年化対策検討委員会は22日、福井市で第六回会合を開催、同委員会の報告書となる「実用発電用原子炉施設における高経年化対策の充実について」(案)を検討した。今月31日開催予定の次会合で最終的に取りまとめる予定。

 報告書案は高経年化技術評価の考え方や現行対策の検証と課題を示した上で、新たな施策を提起した。

 この施策は、@ガイドラインの整備など透明性・実効性の確保A技術情報の収集と活用など技術情報基盤整備B企業文化・組織風土の経年劣化防止と技術力の維持・向上C対策の説明責任の実行――の4項目。

 ガイドラインは、国として高経年化対策の実施方針や基本的要求事項を示すもの。事業者が定期安全レビューの際に実施する高経年化技術評価の結果を国が審査するための標準審査要領と併せ、今年末を目途に定める。技術評価を的確に実施するため、今年から技術資料集の整備も進める。審査は機器の重要度により区分を設ける。また、事業者は高経年化技術評価の開始時期(運開後30年)以前でも、定期事業者検査などで高経年化対策上着目すべき事象の適切な改善措置を実施、これを定期安全レビューで評価する。

 技術情報基盤ではJNESやNUCIAによる情報収集の強化と情報の共有化が重要と指摘。性能低下を正確に把握するためモニタリング技術、予防保全技術などの安全研究を推進する必要があるなどとする。

 企業文化や組織風土ではトップのコミットメント、実行可能なルールの策定、報告する文化の構築、学習する組織作り、属人的組織の排除などが必要とし、事業者と規制機関が取組むべき事項を示した。


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