[原子力産業新聞] 2005年8月25日 第2296号 <3面>

[米NRC] RI追跡システムを創設

 米原子力規制委員会(NRC)は、研究、医療、産業用に使われる放射性物質について、全米的な追跡システムの創設を検討する。このため、NRCは連邦省庁・州と協力して、一定の放射性物質を追跡するために、全国線源追跡システムを開発する。

 NRC規制の修正案は、許認可取得者に対して、対象線源の製造、譲渡、受領、廃棄に関する情報を自動全国線源追跡システムに報告することを義務付け、製造業者に対しては、追跡対象の線源それぞれに固有の連番を割り当てるよう義務付ける。対象となる線源は、放射性物質の漏れや紛失を防止するためカプセルに入れた「密封線源」。

 追跡対象の放射性物質には、一定量のコバルト60、ストロンチウム90、セシウム137、イリジウム192、アメリシウム241などが含まれる。各許認可取得者は、対象線源の最初の在庫を同システムに報告し、年に一回、実在庫とシステム内の記録を照合確認しなければならない。

 「この規制により、線源の在処を全国規模で把握・監視できる」とNRCの工業医療原子力安全部門のL・ミラー部長は述べている。

 同システムが完全実施されると、NRCおよびこの規制に合意した33州が、査察の実施、政府省庁への情報伝達、線源の所有・利用の合法性の検証を行う際に役立つ。NRCは、現在、線源の暫定データベースを作成・維持しており、全国線源追跡システムが完成するまでこの作業を継続する。


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