[原子力産業新聞] 2005年9月8日 第2298号 <1面>

[サイクル機構] 「もんじゅ」改造工事に着手 着工に先立ち「安全大会」開く

 核燃料サイクル開発機構は1日、高速増殖原型炉「もんじゅ」の安全性向上を目指した改造工事に着手した。

 着工に先立ち同日、協力会社作業員も集結して、「安全大会」が行われ、殿塚猷一理事長の「人災は努力によって防止できる」との訓示を受けた後、総勢約800名が「安全の誓い」を唱和。「防災の日」に重なったこの日、「ゼロ災でいこう。ヨシ!」のかけ声で工事の無事を祈願した。

 今回着手したのは、中央制御室からの操作でナトリウム抜き取りができるように、一次冷却系のメンテナンス系ドレン弁を従来の手動から電動に改良する作業。車載ビジョンの現場映像を作業員らが見守る中、モーターが据え付けられ、95年の二次冷却系ナトリウム漏洩事故以来停止している「もんじゅ」が運転再開へ向けて動き出した。

 「もんじゅ」は、95年12月のナトリウム漏洩事故でプラントは停止状態にあるが、安全性向上に向けた改造工事等を目的とする国の原子炉設置変更許可を02年12月に得た後、04年1月に設計および工事方法が認可。翌2月には福井県知事と敦賀市長から工事の事前了解を得た。

 今後の主要工程は、11月に二次冷却系ドレン配管切断工事、12月に二次冷却系温度計さや取り付け切断工事、来年3月にナトリウム漏洩箇所の二次冷却系配管取り替え工事を開始。07年初め頃までに全工事を完了し、その後、機能試験、プラント健全性確認試験などを約1年間かけて行う。順調に進んでも「もんじゅ」の運転再開は、08年初め頃になる見通し。

 岸本洋一郎敦賀本部長は、工事着手に当たって、「日本の技術の粋を2、3年後に再び結実させよう」と、「もんじゅ」運転再開への意気込みを表明した。


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