[原子力産業新聞] 2005年9月15日 第2299号 <1面>

[経産省] アジア原子力協力を強化 発電、規制で支援・交流

 経済産業省はアジア地域における原子力発電に対する支援・協力活動を一段と拡充・強化する。資源エネルギー庁は来年度予算の概算要求で、原子力発電を新たに導入する国に対し、安全や核不拡散など各種制度の整備支援を行うための費用を計上。一方、原子力安全・保安院は中国や韓国の原子力安全規制機関との情報交換や交流を深める方針で、年内に各国規制機関のトップが参加するシンポジウムの開催を提案している。

 エネ庁は来年度予算の概算要求に、アジア地域における原子力発電導入への支援として、5500万円を盛込んだ。ベトナムやインドネシアなどは2010年代後半に原子力発電の導入を検討しているが、近隣国として、安全確保や核不拡散のための各種制度を各国が適切に整備することが重要と判断。さらに原子力安全条約、損害賠償条約、IAEAの保障措置など国際条約の整備も必要。エネ庁では、これらの各分野の専門家を現地に派遣、我が国のノウハウや知見を提供するというソフト支援を行うとしている。

 一方、経済産業省はすでに中国・国家核安全局や韓国科学技術部と原子力発電所の安全性に関する情報交換を行う協力協定を締結しているが、定期的な情報交換の場を設けるなど、今後、三か国間のコミュニケーションを一層拡大する方針。このため、まず原子力安全規制機関のトップ交流が必要と判断、年内にトップが出席するシンポジウムを日本で開催することを中国と韓国に提案している。


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