[原子力産業新聞] 2005年9月15日 第2299号 <2面>

[サイクル機構と電事連] TRU廃棄物 処分研究成果で報告会

 サイクル機構と電事連は8日、経団連会館(東京・千代田区)で「TRU廃棄物処分研究成果報告会」を開催、TRU廃棄物の地層処分は高レベル廃棄物との併置処分が合理的であることを示した。

 再処理施設やMOX燃料加工施設等で発生するTRU廃棄物の処理処分については、原子力委員会で00年3月、基本的考え方がとりまとめられており、関係機関による具体的な実施計画の立案、推進、合理的な技術開発の必要が、現行の原子力長計にもうたわれている。それらを受けて、サイクル機構と電気事業者等は00年5月、TRU廃棄物の処分具体化に係わる協力の覚書を締結、同年に「第一次TRUレポート」を公表。両者は最新の廃棄体情報などを踏まえ、このほど、関連研究開発成果を第二次「TRU廃棄物処分技術検討書」として集約、処分の実現性、安全性への見通しについて報告を行った。

 まず、TRU廃棄物の発生量は、サイクル機構と日本原燃の各施設全操業期間から生じる全てを対象とするとともに、操業完了後の解体廃棄物と海外再処理委託に伴う返還廃棄物も追加、原研などで検討されている、研究炉やRI施設等で発生する廃棄物は少量なため、今回レポートには含めていない。これらを放射能濃度によって区分すると、地層処分、余裕深度処分、浅地中処分の範囲からクリアランスレベルまで幅広く分布し、このうち全廃棄体量の約二〇%が地層処分相当であることが確認された。

 TRU廃棄物の地層処分設計については、高レベル廃棄物と同様に、人工バリアと天然バリアを組み合わせた多重バリアで長期的な安全は基本的に確保できるとして、安全評価を行った。評価に際しては、サイクル機構が00年にとりまとめた「高レベル廃棄物地層処分第二次レポート」に加えて、「多様な不確実性」を考慮すべく、新たな「包括的感度解析手法」を補完・採用し、面状の解析を可能にした。

 その結果、蓋然性が高い地質環境条件を想定した「レファレンスシナリオ」では「地層処分の概念は極めて頑健性が高い」ことが示され、他のシナリオなどでも「安全性を損ねるような影響を与えない頑健性の高いシステムを構築できる」という評価が得られた。

 高レベル廃棄物とTRU廃棄物の併置処分は、スイス、フランス、ベルギー、ドイツなど諸外国でも計画されているが、本検討書では、両処分施設間の相互影響を回避することを基本概念として、熱、アルカリ成分、硝酸塩、有機物の各要因の影響を整理し検討を行ったところ、両者に数百mの離間距離を設け、さらにレイアウトや工学的対策を講じることで、併置処分の技術的成立性の見通しが示された。

 本報告は今後、処分制度確立に向けて、原子力委員会、エネルギー調査会で議論される見込みだ。


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