[原子力産業新聞] 2005年9月15日 第2299号 <2面>

[原研] 原子炉シミュレーター開発

 日本原子力研究所は9日、インターネットを介した原子炉シミュレーターの運転を可能にする機能を備えた遠隔教育訓練システム、「DETRAS」(Distanced Education/Training System on Reactor Simulator over Internet)を開発したと発表した。

 原研社会技術システム安全研究特別チーム・山口勇吉課長らによる研究成果。原子炉シミュレーター用計算機などを設置する「シミュレーター運転センター」と、ユーザーがインターネットを介してこれと接続し、シミュレーターの運転操作を行う「遠隔運転操作環境」から構成される同システムは、基本機能として、ユーザーによる原子炉のシミュレーター運転操作が出来るほか、運転センターにインストラクターを配置することにより、双方向の音声コミュニケーション及びユーザー使用画面のモニタリングなどによる、学習の支援を行うことも可能ということだ。

 従来、原子炉システムなど大規模複雑システムのシミュレーターは高コストで、その活用は極めて限定的なものにならざるを得なかった。原研ではDETRASの開発により、シミュレーターをこれまでよりも広範な教育訓練システムの基盤として活用することが可能となったとしており、原子炉運転員の教育・訓練への活用はもとより、「原子炉施設管理者及び原子力安全規制関係者などの教育にも活用出来る」としている。

 また原研によれば、同システム概念と基盤技術は、大規模石油化学プラント等、他分野の大規模複雑システムにも適用可能であり、「さらなる社会的広がりが期待できる」ということだ。


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