[原子力産業新聞] 2005年9月22日 第2300号 <1面>

[六か国協議] 合意 北朝鮮は全ての核を放棄

 北京で7月26日から、休会を挟んで開かれていた北朝鮮の核開発問題に関する第4回六か国協議では、19日、北朝鮮がすべての核兵器および既存の核計画を放棄すること、核不拡散条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)保障措置に早期に復帰することなどで合意した。

 その見返りに、米国は朝鮮半島に核兵器を配備しないこと、北朝鮮に核兵器・通常兵器による攻撃や侵略を行う意図の無いことを確認した。

 焦点となっていた北朝鮮の原子力「平和利用の権利」については、北朝鮮がこの「権利を有する旨発言した」とし、他の参加国は「この発言を尊重する」として、「適当な時期に」、軽水炉提供問題について議論を行うことに合意したとしている。

 今回の合意について町村外務大臣は、「議長国としての調整の任に当たった中国の努力を高く評価」し、わが国の安全保障上、喫緊の課題である北朝鮮の核問題について、同国が今回初めて、すべての核兵器と核計画の検証可能な放棄を約束したことは、「朝鮮半島の非核化を実現する上で重要な基礎」としている。その上で、「今回の合意を迅速かつ着実に実行に移していくことが大事」と指摘している。

 今回の合意について、北朝鮮外務省スポークスマンは20日、米国が軽水炉を提供すれば、北朝鮮はNPTに復帰し、IAEAと保障措置協定を締結・履行すると述べ、早速、合意から脱線する姿勢を示した。

 これに対して米国務省スポークスマンは、北朝鮮のこの主張は共同声明に違反すると非難。米国は今後、事態がどのように展開するか注視していくと述べた。北朝鮮はまた、ウラン濃縮計画自体も存在しないと否定しており、今回の合意の実施には、今後とも曲折が予想される。

 一方、韓国の鄭東泳・統一省長官は、11月初旬に開かれる次回六か国協議まで、韓国が関係各国と軽水炉提供問題について話し合っていきたいと述べている。


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