[原子力産業新聞] 2005年9月22日 第2300号 <2面>

[原研と東北大] ペロブスカイト型酸化物高温超伝導 SPring−8で直接観察に成功

 日本原子力研究所と東北大学は、このほどSPring−8によりペロブスカイト型酸化物の高温超伝導現象を起こす電子の励起状態の直接観測に成功した。超伝導現象の詳細な解明に繋がるため、将来の室温超伝導物質創製の可能性も高まるとしている。

 ペロブスカイト型の結晶構造を持つ銅酸化物の超伝導現象が発見され、すでに20年近くが経過しているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。しかし、東北大学金属材料研究所グループは、理論的に超伝導の際には電子同士が強く相互作用する異常な金属状態であることを予測、注目を集めた。今回開発した観測技術は、これを実験により確認するとともに、相互作用のメカニズムの解明を目指すもの。

 実験はSPring−8の原研ビームラインに共鳴非弾性X線散乱装置を設置して実施した。同装置は入射X線エネルギー幅を狭くできる分光器と特定エネルギーだけを検出器に入れるアナライザーを有しており、超伝導を担う電子のエネルギーと運動量状態を同時に直接、観測できるという。これにより、電子が強い相関を持つ異常状態が超伝導を起こす重要な鍵であることを確認した。


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