[原子力産業新聞] 2005年9月22日 第2300号 <3面>

[マレーシア] 原子力に前向き 町原子力委員 科技大臣と会談

 アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「研究炉利用」プロジェクトのワークショップに出席するためマレーシアを訪問した機会に、8月10日、新しい科学技術革新大臣のジャマルディン氏と会談した(=写真)。

 同大臣は、日本が広島、長崎の原爆の惨禍を克服、原子力発電を有効に利用していることに敬意を表すると述べた上で、最近の石油・天然ガス価格の高騰、マレーシアの天然ガス、石油が数10年で底をつくことなどを考え、将来の安定的エネルギーの確保策の一つとして、原子力発電の可能性を検討したいとの意向を示したことが印象的だった。原子力発電導入に際しては、安全の確保、核燃料の確保、廃棄物の安全な処理が重要との認識も示した。

 同大臣は今年12月の東京で開かれるFNCA大臣級会合に出席する意向で、その際、ぜひ日本の原子力発電所を見学し、関係者とも意見交換したいと述べた。ジャマルディン大臣は、マレーシア国営電力の会長を務めたこともあり、電力政策には詳しい。

 マレーシアは、1972年に原子力研究機関(現MINT)を設立、原子力発電の導入を念頭に研究炉を設置した。しかしその後80年代に、石油と天然ガス資源が発見され、原子力発電計画は後退し、これまで電源としては「最後の選択肢」とされてきた。


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