[原子力産業新聞] 2005年9月29日 第2301号 <1面>

[ITER計画推進検討会] 幅広いアプローチまとまる

 文部科学省のITER計画推進検討会(座長=有馬朗人・日本科学技術振興財団会長)は28日、第3回会合を開催、「国際核融合エネルギー研究センター」設置と「JT-60」改修の幅広いアプローチ案を取りまとめた。両計画合わせて10年間で920億円の枠内に収める。文科省は30日に同案を青森県に説明、同センターの立地について意向を確認。正式決定した上で、EUや六極会合において提案することになる。

 「国際核融合エネルギー研究センター」はITER遠隔実験、核融合計算機シミュレーション、原型炉国際設計活動、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計活動(EVEDA)の4センター機能をまとめたもの。最初の2年間でセンター棟を建設。3年目に核融合計算機シミュレーション、原型炉国際設計活動センター、IFMIF/EVEDA活動オフィスを同時に開設。9年目にITER遠隔実験センターの初期設備を設置する。必要経費は数百億円としている。

 核融合計算機シミュレーションセンターでは百TFLOPSクラスのグリッドコンピューターを導入、核融合に関するあらゆるデータの活用を可能とし、原型炉開発を総合的に推進。原型炉国際設計活動センターでは、各国で検討されている原型炉を吟味し、コストや安全性を評価するとともに、予備的な研究開発も行う。IFMIFはIEAの下、原型炉の核融合条件を模擬する中性子照射の国際協力施設として検討されているもの。

 サテライトトカマクとする「JT-60」の改修計画では、超伝導コイル化などを進めるが、幅広いアプローチで改修した場合の「JT-60」の権利関係などについては今後EU側と協議する方針。必要経費は数百億円を想定している。


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