[原子力産業新聞] 2005年9月29日 第2301号 <2面>

[サイクル機構] 地層処分技術で報告会 「第二次取りまとめ」以降の成果を示す

 核燃料サイクル開発機構は22日、星陵会館(東京・千代田区)で「地層処分技術に関する研究開発報告会」(=写真)を開催、約250名が参加した。

 同機構が99年に示した「地層処分研究開発第二次取りまとめ」以降の高レベル放射性廃棄物処分に関する研究開発成果について取りまとめた報告書、「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築」について報告するもの。報告書では、「深地層の科学的研究」、「工学技術の開発」、「安全評価手法の開発」の各分野における、地質環境、人工バリア、処分システムの長期挙動などについて、その研究成果を解明し、実際の地質環境への地層処分技術適用性を確認している。なお同報告書には、これら一貫した知識基盤の構造化と次世代への継承を目的に、「知識化レポート」も併せて発表されている。

 会では、深地層の科学的研究について、坂巻昌工東濃地科学センター瑞浪超深地層研究所長が報告を実施。同氏は03年7月に地下施設の建設に着手した瑞浪超深地層研究所では8月末現在、2本の立坑が深度約150mまで到達しており、今後09年度までに、地下500m程度までの立坑を掘削した上で、坑道内での調査研究を開始する計画を明らかにした。また工学技術の開発では、サイクル機構東海事業所環境保全・研究開発センターの油井三和次長が、「人工バリア等の長期複合挙動に関する研究」について報告を行い、緩衝材中のガス移行メカニズムを把握するために、医療用X線CTスキャナの適用可能性を提示。さらに安全評価手法の開発については、サイクル機構東海事業所環境保全・開発センター処分研究部の内田雅大システム解析グループリーダーが、岩盤中の水理・物質移行モデルとして、「入れ子式モデル」を開発したため、第二次取りまとめでは不可能だった、解析スケールの規模と情報の粗密への対応が可能となったことなどを紹介した。

 続いて小島圭二地圏空間研究所代表の司会により、今後の研究開発への期待について、パネルディスカッションを実施。

 今回の取りまとめについて、石川博久サイクル機構バックエンド推進部長は、処分技術の成果が細分化されたため、昨今全貌が見えにくくなってきたことを痛感したとして、「相互の関連性の可視化」により、全体を俯瞰していく必要性を強調した。


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