[原子力産業新聞] 2005年10月6日 第2302号 <1面>

[日本原子力研究開発機構] 世界の中核的研究機関目指し 発足

 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合した「独立行政法人日本原子力研究開発機構」が1日に発足した。原子力機構は、これまで旧二法人それぞれが担ってきた原子力の基礎・基盤的研究と、核燃料サイクルの確立を目指した研究開発とを融合し、統合効果を創出しつつ、世界の原子力研究開発の中核的研究機関を目指していく。

 1日、殿塚理事長ら出席の下、東海本社正門でプレート除幕式(=写真)がとり行われ、「原子力の未来を切り拓き、人類社会の福祉に貢献する」ことを使命に、新法人がスタートを切った。

 式後の会見で殿塚理事長は、「国民の期待に応えられる原子力機構を創り上げるよう全力で取り組む」との抱負を述べた。

 原子力機構の設立時職員数は約4400名、本年度予算額は約2000億円、今後は人員・経費の削減等により、経営の合理化・効率化を図っていくが、研究開発系の法人統合では、産業技術総合研究所を上回り、これまでで最大規模となった。

 新法人の役員は、殿塚理事長以下、岡ア俊雄副理事長、7名の理事、2名の監事で構成され、中期計画の進捗を経営層が確認しながらPDCAサイクルを廻す経営管理の仕組み作りを目指していく。

 また、組織運営の面での新たな仕組みとして、「研究開発部門制」を導入、研究開発分野を、@安全研究A先端基礎研究B原子力基礎工学研究C量子ビーム応用研究D核融合研究開発E次世代原子力システム研究開発F核燃料サイクル技術開発G地層処分研究開発Hバックエンド推進――の九部門に整理し、各部門の責任者たる部門長の下で、一元的かつ横断的に研究開発が推進されるような組織改革を図った。また、旧二法人の研究所、事業所等は、「敦賀本部」のほか、東海、大洗、那珂、高崎、関西、幌延、東濃、人形峠、むつの「研究開発拠点」として再編される。敦賀本部長は岡ア副理事長が務める。

 殿塚理事長は3日、原子力機構の発足式典で役職員らに、各分野で「世界一を目指す」という「高い志」、国民の負託や社会の要請に応えて創造性あふれる研究開発成果を生み出せる「豊かな発想」、粘り強く目標を達成する「強い意思」を持つよう期待するとともに、「融合と協力」の精神で心を一つに、新しい組織風土や伝統を創造して社会の期待に応えていくよう訓示した。

 なお、新法人の略称は「原子力機構」、英文略称は「JAEA」と呼ぶこととなった。


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