[原子力産業新聞] 2005年10月6日 第2302号 <1面>

[総合資源エネ調査会電気事業分科会] 原子力部会 「見なし」制度の見直し等議論

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の原子力部会は9月28日、第3回会合を開催、既設炉の活用方策、国と地方との関係、立地振興策などを議論した。既設炉の活用では電事連が設備利用率向上に向けた取組みを説明し、「事業者の創意工夫が活かされる検査制度」の検討を要請。立地振興策ではエネ庁が運転停止の際の「見なし」制度の見直しを提起した。「見なし」制度は、発電電力量を基礎に交付金を算定する電力移出県等交付金と長期発展対策交付金について、安全性確保のための運転停止の場合には、運転中と見なして交付金額を算定する制度。委員からは合理的な検査制度が必要、「見なし」制度は見直しの検討が必要との意見が多く出された。

 電事連は高水準の安全性と利用率向上を両立するため、状態監視保全の拡大、オンラインメンテナンスの対象範囲拡大、リスク情報の活用、連続運転期間の柔軟化など運転保守の高度化策を説明。規制機関に対しては、効率的で合理的な検査制度のあり方を検討する場の設置などを要請した。

 委員からは、「グローバルスタンダードに近づけるべき」(内山委員)、「政策側が積極的に新しい法制度を検討すべき」(大橋委員)、「現行制度は杓子定規、海外情報も含め柔軟な対応が必要」(児嶋委員)、「データに基づく合理的規制が必要だが、事業者の品質保証体制が重要」(山名委員)、「事業者に目標と科学的根拠を説明できるシナリオが必要」(寺島委員)など、比較的肯定的な意見が多く出されたが、「地元には不安があることを前提にした対策を」(河瀬委員)との要請もあった。今回の議論を踏まえ、エネ庁は原子力安全・保安部会に諮る方針だ。

v 国と地方との関係や立地振興策では、「見なし」制度の見直しを含め主に交付金制度を議論。「見なしを中止すると運転優先の可能性がある」(古川委員=佐賀県知事)との意見も出されたが、制度の本来の趣旨から発電電力量に応じて交付金額を算定すべきであり、国が安全を確認した以降は見なし制度は不要ではないかなど、見直しを検討すべきとの意見が多く出された。


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