[原子力産業新聞] 2005年10月6日 第2302号 <2面>

[RANDEC] 「報告と講演の会」開く

 原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC)は9月29日、東京・港区の三会堂ビルで「報告と講演の会」(=写真)を開催した。

 会では、同日原子力委員会の新計画策定会議で、新たな「原子力政策大綱」がとりまとめられたのを受け、同会議メンバーの山名元京大原子炉実験所教授より特別講演を実施。同氏は新政策をわが国における今後の原子力のあり方についての「仕切り直し」と位置付けるとともに、特に核燃料サイクルの意義と戦略に関しては、計33回の策定会議中11回を割いたとして、重点的に議論されたことを強調し、加えて策定会議では、核燃料サイクル政策の総合評価が@安全性A技術的成立性B資源節約および供給安定性C環境適合性D経済性E核不拡散抵抗性F海外の動向G社会受容性H政策変更に伴う課題I選択肢の確保――の幅広い切り口から行われたことについて、「原子力は一端で議論できるものではない」と指摘し、賛成・反対の双方から多方面の意見が戦わされた経緯を振り返った。

 また、プルサーマルにより原子力発電の12%の燃料が国内資源化され、国内水力発電の半分に相当する電力を生むことから、エネルギー自給率向上効果を「全ダムの半分の価値」として紹介。加えて、再処理路線は「放射性物質・核物質の総合管理方策」、「使用済み燃料の総合的管理方策」として、単に短期的需要に応えるだけでなく、今後のわが国の長期的な原子力の展望の下で、最適な道を選択するものとして、評価されるべきと述べた。

 続くテーマ別事業報告では、福村信男RANDEC調査役が残留放射能評価の計算評価コードシステム「COSMARD」による「JPDR」、原子力船「むつ」、スロバキアの炭酸ガス炉への適用性評価等を紹介。

 また石堂昭夫同参事が、RANDECの推進する処分地の立地調査について説明を行い、「立地をとらえて原子力への信頼を獲得する」ことが重要と述べた上で、手続き段階の指針と望ましい結果を得るための指針からなる「クンロイター氏による立地14箇条」に基づく合意形成シナリオをデモンストレーションし、公表周知、対話検討、意思決定の各フェーズで候補地決定までのプロセスを示した。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.