[原子力産業新聞] 2005年10月20日 第2304号 <2面>

[原子力安全委] 大間2次公開ヒア開く

 原子力安全委員会は19日、青森県下北郡大間町の北通り総合文化センター「ウイング」で、電源開発の大間原子力発電所原子炉設置に係わる第二次公開ヒアリングを開催した。昨年7月の中国電力・島根原子力発電所3号機以来の第二次公開ヒアとなった今回は、大きな抗議活動もなく、議事は平穏に進行。会場に詰めかけた400名を超える参加者は、意見陳述人の質問と、それに対する経済産業省の説明に対して熱心に聴き入っていた。今回のヒアリングが終了したことにより、電発の大間原子力発電所建設計画は、実現に向けて大きく前進した。

 日差しはあるものの最低気温は5度程度。もはや冬とも言える厳しい天候にもかかわらず、会場には早朝から多くの傍聴人が集まり、ヒアリングは定刻の午前九時からスタートした。

 今回のヒアには松浦祥次郎安全委員長に加え、東邦夫委員、久住静代委員の3名が議長団として参加。議事は応募のあった28名の中から、安全委員が大間原子力発電所原子炉固有の安全性に関する意見などを観点に選定した18名(当日都合により一名が欠席)が意見陳述人として質問、これに経産省が答えるという形で進行した。

 会では意見陳述人から、フルMOX−ABWRの安全性や、放射性物質の放出と、それがマグロや昆布などといった海産物に与える影響や風評被害についてなど、大間原子力発電所特有の質問に加え、地震や津波による影響に関する質問などが多く出された。

 これらに対し説明者側は、まずフルMOX−ABWRの安全性について、実験炉におけるフルMOXも含めた試験データから、核設計手法の検証は行われており、またBWRの技術を集大成したABWRにおいて、ホウ酸水注入系の容量増加、一部制御棒の中性子吸収効果増強、主蒸気逃がし安全弁の容量増加などといった、全炉心でのMOX利用も念頭に置いた設計対応が行われていることなどを説明し、安全性に問題のないことを説明した。

 またその他の質問に対しては、@地震や津波については、発電所周辺の活断層および過去の文献などを綿密に調査することにより想定した、最大規模の地震や津波を上回る規模のものが発生した場合にも耐えられる設計となっているA原子力施設が出来たことにより、周辺環境に影響を与えることはなく、また放射線放出管理が適切に行われているかのチェックも行う。また風評に対しては、保安院としては安全に関する情報を的確かつ速やかに発表する――などとして、理解を求めた。

 電源開発初の原子力発電ユニットとなる大間原子力発電所は、ABWR、138.3万kWと、わが国最大級となる計画。06年8月着工、12年3月の運開が予定されており、運開後は安全性を確保しながらMOX燃料の装荷割合を徐々に増やしつつ、原子炉全体でのMOX燃料利用を目指す方針だ。


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