[原子力産業新聞] 2005年10月27日 第2305号 <1面>

[ベトナム] プレFSを首相に提出 原子力発電の導入計画が着実に進展

 ベトナムの原子力発電導入計画が、ゆっくりだが、着実に歩を進めている。

 ベトナム政府部内で原子力発電の導入を検討してきた「運営委員会」(委員長=ハイ工業大臣)は、原子力発電導入に関するプレフィージビリティ・スタディ(プレFS)を、今年8月末、首相府に提出したことが明らかになった。

 これは、17、18日の両日、在ハノイのフランス大使館が、ベトナムの工業省、科学技術省と共同で開いた「仏越技術会議」のさい、科学技術副大臣らが記者会見を開き、明らかにしたもの。プレFSは2002年1月から、工業省・エネルギー研究所が中心となって進めてきた。

 プレFSの要約版はファン・バン・カイ首相にも手渡され、現在、首相の指示により、各省がレビューを行っている。ベトナム政府は今年5月、科学技術省がまとめた2002年までの原子力平和利用長期戦略を原則承認している。

 原子力発電導入計画を進めるためには、今後、プレFSについて首相の承認を得たあと、国会の承認を受ける必要があるが、国会承認は来年春以降と考えられている。その後、政府は原子力発電導入に関する正式なフィージビリティ・スタディ(FS)を開始する予定だ。

 原子力発電所のサイトは、ニン・トゥアン省内のプク・ディン、ニン・ハイの二サイトが有力だ。両サイトは、電力の大消費地であるホーチミン市から東北に約300kmの沿岸部にある。プレFSでは、ここに第1期として100万kW原子力発電所を2基、第二期として同2基を建設するとしており、投資額は2基で約34億ドル(3900億円)、2017〜2002年ごろの初号機運開をを目指す。

 ベトナムでは急速な経済発展に伴い、電力不足が表面化している。今年5月には渇水のため、停電が頻発、政府が国会で責任を追及される場面もあった。2006〜2010年には、更なる電力不足が予想されている。工業省は、2002年の電力需要を2300億kWhと推定、うち400億kWhを原子力発電と輸入石炭によって発電する計画を立てている。


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