[原子力産業新聞] 2005年11月24日 第2309号 <1面>

[原子力部会] 原子力産業の国際化などで議論

 経済産業省は18日、東京・港区の霞ヶ関東京會舘で総合資源エネルギー調査会の第5回原子力部会を開き、原子力産業の国際展開、および電力自由化と原子力発電について議論を行った。

 日本の原子力産業の国際展開については「世界に広く原子力を広めるために国がバックアップする必要がある」など肯定的な意見が多く寄せられた。

 一方、電力自由化と原子力については、一層の自由化を前提として原子力発電のあり方を考えるべきとの見方が示される一方、「原子力発電を競争の世界から切り離すべき」という意見も出されるなど、議論が分かれた。

 原子力産業の国際展開について経産省は、核不拡散と安全性確保を大前提としつつ、相手国の実情に応じてきめ細かな政策対応を図りながら、当面は米国等の他国と協力しつつ進めることを基本方針としている。その上で、@輸出に対する政府の高いレベルでの明確な支援表明A相手国との対話の強化B人材育成への協力C国際機関によるレビュー調査への積極的参加D先進国向け輸出への公的資金活用E導入国での制度整備への支援F二国間協力協定等の枠組み作りG原子力のCDM/JIへの組み入れH輸出管理・輸出信用付与手続きの柔軟な運用I官民連携の場の設定J学の協力関係の拡大――等を施策案として打ち出した。

 地域別の具体的対応方針としては、大規模な原子力発電導入計画を進めている中国には、政府としての支援意思表明や公的金融機関による積極的支援を行うほか、人材育成に協力する。包括エネルギー法成立により新規原子力発電所建設が期待される米国では、資金調達がボトルネックとなる可能性が高いことから、ファイナンス面での公的支援を検討する。2020年までに原子力発電容量を現在の730万kWから2000万kWへ拡大を目指すインドについては、「インドが引き続き化石燃料に依存し続けることは好ましくない」としながらも、インドへの原子力資機材・技術の供与の是非については、世界的にもまだ方向性が定まっておらず、またインドが重水炉を中心に建設、トリウムサイクルを目指していることから、「わが国が協力できる分野があるかどうか良く精査する必要がある」としている。

 原子力発電の新規導入を目指すインドネシアとベトナムに対しては、安全規制体系や核不拡散体制の整備への支援、人材育成への積極的な協力、官民の対話の場の設定などを提示。またベトナムに対しては、FS実施への日本の協力のあり方の検討を行うとしている。

 委員からは、原子力がCDM/JIに組み入れられるように政府は努力してほしい、日本は官民連携が弱いため、スピーディーに連携が行われる仕組みが必要、早期に二国間協定を作り原子力技術移転ができる基盤を作るべき、仏は米国にEPRを売り込んでおり、日本は首脳会談の場等でABWR、APWRの売り込みを図るべき、などの意見が出された。


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