[原子力産業新聞] 2005年11月24日 第2309号 <2面>

[中部電力] 公開討論会 浜岡4号機・プルサーマル計画

 中部電力は19日、静岡県御前崎市の市民会館でプルサーマル計画に関する公開討論会を開催(=写真)した。約530名がプルサーマルの必要性や浜岡4号機での計画内容、反対の立場の発言者も交えたパネル討論を傾聴。討論会後の会見で伊藤隆彦副社長は、設置変更許可申請について「年内か年度内を想定しているが、スケジュールありきではなく、地元理解の状況を見ながら時期を探りたい」とした。

 討論会は第一部プルサーマルの説明と第二部パネル討論で構成。第一部では経産省の野口哲男・大臣官房参事官が最近のエネルギー情勢やプルサーマルの必要性について、中部電力の池田紘一常務が浜岡4号機での計画内容とともに制御棒の効き、燃料の性質、使用済みMOX燃料の処理、経済性、東海沖地震との関係などこれまでに寄せられた質問と回答を解説した。

 パネルのコーディネーターは、評論家の木元教子氏が務め、地元からの発言者六名、専門家として大島博文・原子力機構核燃料サイクル工学研究所長、奥野健二・静岡大教授、山本一良・名古屋大院教授、吉岡斉・九州大院教授などにより安全性、地震対策、経済性、安全協定、情報公開などを議論。安全性への懸念から中止や慎重な対応を求める意見とともに、日本のエネルギー事情などを考慮し安全を大前提に実施すべき、など様々な意見が出された。

 特に東海沖地震とプルサーマル計画を含めた原子力発電の安全性に対する関心は高く、地震や耐震性の専門家が公開の場で分かりやすく討論して欲しいなどの要望があった。中部電力は耐震安全性について、マグニチュード8.5(基準地震動S2=600ガル)の地震も考慮している事、さらに約1000ガルを想定した耐震裕度向上工事も説明。プルサーマルは耐震性に影響しないとした。また、地元自治体との安全協定に事前了解事項を盛り込んむべきとの要請も出されたが、同社は「これまでも信頼関係により、事前了解事項がなくとも地元の了解を得ながら事業を進めており、現状で協定見直しを提案することは考えていない」と説明した。

 同社では計画の内容や安全性を説明するため、周辺市町村も含めた全戸訪問を継続するとともに、今後小さな地域単位での意見交換会なども実施し、理解活動を一層充実する。


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