[原子力産業新聞] 2005年12月1日 第2310号 <1面>

[保安部会・耐震・構造設計小委] 女川2号機の耐震性を検証 東北電は安全を確認

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の耐震・構造設計小委員会(委員長=阿部勝征・東大地震研究所教授)は11月29日、第1回会合を開催、東北電力が同25日、原子力安全・保安院などに「耐震安全性の確保を確認した」と報告した、「女川原子力発電所における宮城県沖の地震時に取得されたデータの分析・評価および耐震安全性評価」に関する検証を開始した。保安院は同委員会での審議を精力的に進めるとともに、原子力安全基盤機構に依頼してクロスチェックを実施、国としての評価を取りまとめる方針。

 女川原子力発電所は8月16日に発生したM7.2の宮城県沖地震で3基とも自動停止。重要設備の損傷は認められなかったが、一部の短周期成分が設計時設定の基準値震動を上回ったことが判明。このため保安院は耐震安全性の詳細評価と上回った要因分析の報告を求めていた。

 今回の報告は2号機に関するもの。詳細評価では安全上重要な建屋や機器の応答解析により耐震安全性の確保を確認。要因分析では、宮城県沖近海の地域特性により特に短周期成分が大きい傾向が明らかになったとした。基準値震動を策定した当時にはこうした知見は明確でなかったため、今回、同社は国の地震調査研究推進本部が策定した想定宮城沖地震(M7.6相当)に対する地震動として新たにA、B2種類を策定、耐震Aクラスの耐震安全性を確認した。さらに最大加速度580ガルの安全確認地震動(M8.2相当)も策定し、耐震Asクラスでの安全確認も実施、それぞれ耐震安全性は十分確保されていることを確認(=表)した。1、3号機の評価もまとまり次第報告する。

 今会合では同社がこれらの要因分析・評価結果を説明。次回以降、建屋・機器、地盤などの安全評価も検証するが、すでに今月14日と22日の開催を決めるなど精力的に審議を進める方針。

 また同委員会に検討材料を提供する地盤耐震評価WGと建築物構造WGも設置した。


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