[原子力産業新聞] 2005年12月8日 第2311号 <1面>

[ITER] 「産業界の参加が重要に」 池田ITER機構長が会見

 ITER(国際熱核融合実験炉)機構の機構長に選任された池田要・駐クロアチア大使(=写真)がこのほど選任挨拶のため帰国、2日、文部科学省で会見し抱負を語った。

 この中で池田氏は、来年春から本格的な活動を開始する同機構の陣容について、500名前後を想定していることを明らかにするとともに、日本の産業界の協力を要請した。

 池田氏は機構長就任について、「自然なかたちで参加各国に就任を認めて頂いた。各国は早くフルタイムで機構長の職務に就くよう求めており、任期は建設期間である10年を考えている。日本とフランスが最後まで競合したが、この点のしこりはない。世界の人口の半分を占める国々が参加して未来のエネルギーに先行投資することは意義深く、各国の期待は大きい」とした。

 現活動や今後の方針については、「協定締結に向け現在、最終的な詰めの協議を行っており、来春には締結、春から年央にかけて機構のチーム作り、年央から後半にかけて超伝導コイルなど製作に時間を必要とするものから、建設に向けた具体的な議論を開始する。機構は最盛期には500名程度の陣容になると考えており、この内日本のスタッフは2割近く、100名前後になる。ITERに対する日本の貢献は各国が認めているが、今後は本体の建設に向けて研究開発だけでなく、産業界もやる気になって参加して頂くことが重要になる。準ホスト国として日本への期待は大きく、他の国とは違う存在。日本はITERの成果を各国と共有しながら、次に備えた基盤研究に取組むべき」と述べた。

 池田氏は現在、クロアチアのザグレブに住居を構えているが、来春までにはフランスのカダラッシュ近隣に移る予定という。


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