[原子力産業新聞] 2005年12月8日 第2311号 <2面>

[原子力機構] 大洗研究開発センターでJMTR利用検討委を開催 材料試験炉の利用者評価など検討

 日本原子力研究開発機構は6日、大洗研究開発センターで第2回JMTR利用検討委員会(委員長=宅間正夫・日本原子力産業会議副会長)を開き、材料試験炉(JMTR)に対する利用者の評価や、RI製造、シリコン・ドーピング等の研究炉の産業利用について検討を行った(=写真)。

 最初に日本原子力学会の河原ワ副会長が、照射試験施設の利用に関する調査結果を発表した。これは今年3月に同学会の特別専門委員会が核燃料部会、材料部会、核融合工学部会の部会員を対象に行った試験研究炉の利用に関するアンケート調査から、JMTR関連の部分をまとめたもの。

 アンケートでは、現在のJMTRの使い勝手について、民間企業のユーザーと、大学、国の機関のユーザーとで、評価に大きな差が出る結果となった。民間機関は、利用スペースが少ない、ターンアラウンド(利用申請から試験結果データ入手までの期間)が長い、利用料金が高い、利用上の法的規制が大きい、施設スタッフの技術的支援が不十分など、大学や国の機関よりも厳しい評価をするユーザーが多い。

 また、海外の照射試験施設と比較した場合、@試験実施のための技術的支援体制が不十分A試験研究炉に商業炉と同等の安全規制が適用されるため革新的研究の実施が困難で許認可取得に長期間を要するB利用料金の低減化努力が必要――等を指摘している。

 一方、半導体製造のためシリコンを原子炉で照射する「シリコン・ドーピング」のニーズについて、放射線利用振興協会の一色正彦専務理事は、世界の中性子照射法(NDT)シリコンの70%を日本企業が製造しているにもかかわらず、日本での照射はわずか3%に過ぎない現状を紹介。今後、ハイブリッド車の普及等によりNDTシリコンの需要増が見込まれることから、JMTRを8インチ径シリコン照射に適応させ、JRR―3と連携体制を取ることにより、現在年間5d程度の処理能力を、2011年に46dへと増大させることができると指摘した。

 ラジオアイソトープ製造の現状と将来展望について説明した千代田テクノルの竹内取締役は、JMTRを含む研究炉利用について、@均質な製品の安定供給のため複数の原子炉による適切な運転サイクルの確保A安定した原子炉の運転B設備利用費の低減C照射計画・運営体制の柔軟化D運転サイクル中の途中取りだし機構の設置――などを要望。また、現在3か月前となっている照射申請に柔軟性を持たせるよう求めた。


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