[原子力産業新聞] 2005年12月8日 第2311号 <3面>

[米GAO] 「IAEA保障措置能力強化を」 報告書で人材、財政問題など指摘

 米議会の会計検査院(GAO)はこのほど、国際原子力機関(IAEA)の保障措置能力の強化を求める報告書を議会に提出した。これによると、追加議定書など強化されたIAEA保障措置を実施する権限を制限する協定の削減、保障措置および核防護活動の有効性を評価する手法の確立、保障措置スタッフを採用するIAEAの人事制度の修正が含まれている。

 IAEAの保障措置の問題点については、@NPT締約国の3分の2が追加議定書を発効させていないA少量の核物質しか保有していないか、または包括的保障措置協定を締結していないため、保障措置がかなり制限されているか適用されていないNPT締約国が多数あるBIAEAでは今後5年間に大量の査察官の退職が見込まれており人材確保が困難C新たな保障措置制度の有効性を測定するシステムが用意されていない――などを挙げている。

 2004年に米国は、IAEA保障措置の支援のため、保障措置局予算の34%を超える4530万ドルを任意拠出金を含めて拠出している上に、米国の各省庁が推定2720万ドル相当を技術支援に提供した。IAEAは予算増にもかかわらず、米国等からの任意拠出金への依存が続いている。

 IAEAは、各国が核物質と施設の物理的防護策を改善し、テロ行為に対処するのを支援する取り組みを強化した。2002年に、IAEAは原子力安全保障基金(NSF)を設立、各国がこのNSFに3670万ドルを任意拠出したが、任意拠出金への依存は予算上問題があると、報告書は指摘している。


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