[原子力産業新聞] 2005年12月15日 第2312号 <2面>

[三菱重工] 南アPBMRの炉内構造物で受注 基本設計と材料調達で

 三菱重工業は6日、南アフリカ共和国のPBMR社からペブルベッドモジュール型高温ガス炉(PBMR、球状燃料要素炉)の炉内構造物の基本設計と材料調達を受注したと発表した。受注額は約1500万ドル(約18億円)。設計は06年12月までに完了、並行して炉内構造物に用いる特殊鋼などの材料を調達する。

 受注したPBMRは同国の国営電力会社ESKOM社が同国に導入する電気出力16.5万kWのデモンストレーション機。07年に着工、11年に引渡しを予定している。PBMRは黒鉛球状燃料とヘリウム冷却材を使用、炉心溶融の懸念がなく、高い安全性が特徴。デモ機運転後、13年には同国初の商用機の運転を予定している。

 同国では今後20年間で約3000万kWの新規電力需要が見込まれているが、発電設備の拡充を急ぐ政府の強力な支援の下、年3基ペースでPBMR商用機が建設され、20年には累計24基に達する見通し。これにより新規電力需要の約13%、400万kWの電力をPBMRが賄うことになるという。

 今回の受注は、PBMR社にとってはデモ機製造に向けた最初の契約で、実際の機器製作およびプラント建設の段階に移行したことになる。三菱重工では、06年中にPBMRデモ機用炉内構造物の詳細設計、機器製作などの契約も予定。同社は01年に、このPBMR開発計画の一環としてヘリウムタービン発電機に関するフィジビリティ・スタディに参画して以来、PBMR社と同発電機の共同開発などを行っている。


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