[原子力産業新聞] 2006年1月12日 第2314号 <2面>

[原子力機構] JMTR 利用上問題点の改善案等を報告

 日本原子力研究開発機構は昨年12月27日、東京・千代田区の東京事務所で、第3回JMTR利用検討委員会(委員長=宅間原産副会長)を開き、これまで委員などから指摘のあったJMTR利用上の問題点等について、改善案を報告した。原子力機構は、特に産業利用に関して、利用性向上のため「利用者とともに検討を進める」としている。

 日本原子力学会の特別委員会は、@ターンアラウンドタイムの短縮A照射費用の低減化B照射手続きの簡素化と使い勝手の改善C安全規制問題――などについて指摘。これに対して原子力機構では、ターンアラウンドタイムは、各工程を見直すことによって、計装キャプセルについては最大21か月から同11か月へ圧縮が可能とし、オランダのHFR炉と比べて4割程度割高といわれる利用料金も、施設の運営管理費の合理化・効率化により、3割程度低減できるとしている。手続きと使い勝手の改善についても、対外窓口として「産学連携推進部」を設置、業務の一本化と支援体制を一元化するとともに、照射技術を熟知した人間が「照射試験コーディネーター」となり、計画から照射試験終了まで照射手続きの代行も含めて行う体制を構築するとしている。

 規制問題については、計画外停止における早期再稼働のため、規制当局と調整して迅速化を図るほか、最大年間運転日数を現在の180日から240日へと拡大を図るとしている。

 シリコン半導体製造のために必要な8インチ照射孔についても、炉心南側に専用照射孔の設置を検討。RIの安定製造のために必要な複数原子炉による適切な運転サイクルの確保については、JMTR、JRR―3、JRR―4の共通調整窓口を設置し、これらの原子炉と施設の定期検査期間の調整を行い、安定供給に努めるとしている。

 このほか、利用計画の公平・透明性を確保するため、利用者からなる「協議会」で決定、また頻繁に利用する顧客には「マイレッジ加算方式」などで特別割引料金の設定なども検討する。


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