[原子力産業新聞] 2006年1月12日 第2314号 <3面>

[ウクライナ] 米社と使用済み燃料貯蔵契約 ウクライナ大統領案は白紙に

【1月3日=キエフ松木良夫】ウクライナのユシュチェンコ大統領が12月8日にチェルノブイリ原子力発電所からの使用済み燃料搬出作業を視察した際、チェルノブイリ原子力発電所跡地に、外国の使用済み燃料を保管する可能性を示唆する発言をしたが、議員などが反対意見を表明、翌週には大統領が自らこれを撤回した。

 大統領の発言は、正確には、チェルノブイリ地域に外国の使用済み核燃料を保管する可能性について、世論・専門家・科学者が肯定的な評価をするのであれば、検討の上政治的決定を下す用意があるとしたものだったが、早くもこの案は消えたわけである。

 ウクライナ国内では現在、4サイトで合計15基のVVER型原子力発電所が運転されている。現在ロシアへ輸送されている使用済み燃料がウクライナ国内で保管出来るようになれば、輸送に伴う費用もリスクも低く抑えられる。

 このため、ウクライナ国内で使用済み燃料を保管する計画は既に具体化しつつある。12月26日には、ウクライナ国営原子力発電公社エネルゴアトムと、米国のホルテク・インターナショナル社の間で、ウクライナ国内で発生する使用済み燃料の保管施設のウクライナ国内での許認可、建設工事、運用開始、輸送及び貯蔵システム設置に関する請負契約が締結されている。契約金額は約1億5000万ドル(約160億円)、うち9割はホルテク・インターナショナル社が出資、2008年の竣工予定だ。


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