[原子力産業新聞] 2006年1月19日 第2315号 <1面>

[佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター] 施設が完成 九州初の放射光で新規産業創出

 佐賀県が九州で初のシンクロトロン光応用研究施設として建設を進めてきた「佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター」がこのほど完成(=写真)、来月から本格的な利用を開始する。

 同センターは地域産業の高度化と新規産業の創出、多様な産学官連携拠点の形成、人材の育成などを目的に、鳥栖北部丘陵新都市・テクノセンター(鳥栖市)に建設したもの。98年度から基本計画の策定に着手、01年度から2年間で実験・研究棟を建設、03年度から各種装置の搬入・組立・調整などを進めてきた。第1期整備分の総事業費は、51億円。

 施設は全長30m、電子加速エネルギー260MeVのリニアック、周長75.6m、電子加速エネルギー1.4GeVの蓄積リングなどで構成。ビームライン(BL)は最大20本設置可能で、当面は佐賀県が県有BLを3本、佐賀大学が1本設置する。

 県有BLは、@マイクロデバイスの研究開発や新材料加工プロセスの開発などを行う材料加工・プロセス開発BLA各種材料表面の酸化・劣化・電子状態などの解析を行う軟X線利用材料分析BLB新材料の構造解析や環境中の微量元素の分析などを行う構造科学イメージング分析BL。

 佐賀大学はシンクロトロン光とレーザー光を組合わせ半導体と生命体の表面・界面の電子状態を分析する新分光法を開発する。

 県では今後第2期計画として県有BL3本を順次整備する。


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