[原子力産業新聞] 2006年1月19日 第2315号 <2面>

[フランス] シラク大統領 第4世代炉開発を指示 2020年運開目指しCEA中心に

 フランスのシラク大統領は5日、パリで開かれた労働組合幹部と財界首脳の集会で、「原子力で最先端を切る」とし、第4世代原子炉の開発を始めると発表した。同大統領は、「私は、仏原子力庁(CEA)に、2020年運開を目標として、第4世代炉の原型炉開発を始めるよう指示した」とし、産業界および国際的なパートナーと協力して開発にあたると述べた。また、放射性廃棄物処分問題の解決に向け、独立した原子力安全組織を設立する意向も明らかにした。

 シラク大統領は、原子炉設計や技術の詳細を明らかにしなかったが、第4世代炉は「廃棄物の発生量が少なく、資源を有効利用できる」と述べた。一方、仏カダラシュに建設される国際熱核融合実験炉(ITER)にも言及、「今世紀末までに、『地上に太陽』を実現させる」と強調した。

 フランスは、米エネルギー省(DOE)が主導する第4世代原子力システム構想・国際フォーラム(GIF)にも参加している。GIFにはフランス、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、日本、南アフリカ、韓国、スイス、英国、米国などが参加している。

 シラク大統領は、フランスが放射性廃棄物の最終処分について合意に達する必要があると強調。今月末まで高レベル廃棄物と長寿命中レベル廃棄物の処分に関する国民協議プロセスが終わることを受け、この夏前にも国会が処分方法について決定、法律化するとの考えを示した。

 また、安全性に対する国民の信頼を高めるため、原子力安全と放射線防護に関する独立機関を設立するよう、閣僚に指示した。

 仏電力庁(EDF)は、現在1基が運転中のノルマンディのフラマンビルに、新型加圧水炉EPRを建設する計画で、2007年に建設を開始する。現在、仏では59基の原子力発電所が運転中で、国内電力の78%を賄っている。


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