[原子力産業新聞] 2006年1月26日 第2316号 <2面>

[原子力安全委員会] タスクフォース リスク情報活用安全規制で報告書

 原子力安全委員会の「リスク情報を活用した安全規制の導入に関するタスクフォース」(座長=矢川元基東洋大学計算力学センター長)はこのほど、リスク情報活用の諸外国および他産業における現状、国内取り組み状況、今後の方向性などに関する中間とりまとめを安全委に報告、了承された。

 それによると、諸外国のリスク情報を活用した規制に対する認識の特徴として、米国では過剰な規制による事業者負担を軽減することを長所としているが、フランスでは、規制の安全レベルに低下があってはならないと考えていることなどを挙げている。

 一方国内行政では、総合資源エネ調が昨年6月、「原子力安全規制へのリスク情報活用の基本的考え方」等において、原子力安全・保安院、産業界の準備状況を勘案し積極的に進めることを提言。また電気事業者では、リスク情報活用に向けた検討が着実に行われてはいるものの、具体的な取り組みにまでは至っていないため、今回タスクフォース報告は、規制との関連分野において先行的パイロット運用により実績を積み上げていくことを指摘した。

 同報告書はまた今後の方向性として、@具体的な実績の積み重ねA運転保守や規制要件の適正化に係わるリスク情報の活用BPSAの品質C核燃料サイクル施設におけるリスク情報活用Dインフラ整備および人材確保E国民との双方向理解の推進――を留意点としており、安全委ではこれを受け、一般向けのシンポジウム開催等により、リスク概念がより身近なものとなるよう継続的に努めていくとしている。


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