[原子力産業新聞] 2006年2月2日 第2317号 <3面>

[IAEA] イラン問題で理事会 欧米、中ロは安保理付託で一致

 国際原子力機関(IAEA)は2日、イランの核開発問題を討議するため、ウィーンのIAEA本部で臨時理事会を開く。これは、イランと協議を続けてきた、仏、ドイツ、英国の3か国が1月18日、理事会議長国である日本に要請し、開催が決まったもの。イラン問題に関しては、昨年8月にも臨時理事会が開かれている。

 臨時理事会では、イランの保障措置協定違反を国連安全保障理事会に付託するかどうかが焦点になる。IAEA憲章は、査察結果に違反が認められた場合、理事会がその違反を国連安保理に報告すること、制裁措置を行うことなど定めているが、実際に安保理に付託されたのは北朝鮮問題だけであり、その後、安保理での進展は見られない。

 IAEA臨時理事会に先立ち、国連安保理常任理事国5か国とドイツは、1月30日、ロンドンで外相会談を開き、IAEA理事会の場でイランの核開発問題を国連安保理に付託することで合意した。ブシェール原子力発電所などでイランとの協力関係が強いロシアと、イランへの石油依存度が高い中国が、最終的に欧・米の説得に応じたもの。6か国はまた、安保理での経済制裁等の行動は、3月始めのIAEA理事会で発表されるイランの核開発に関する公式報告書の発表後に行うことでも合意した。

 豊富な原油を武器に瀬戸際外交を繰り広げるイランに、IAEA理事会の過半数を占める途上国を含め、国際社会が一致してイランに核開発中止を迫ることができるか注目される。


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