[原子力産業新聞] 2006年2月9日 第2318号 <4面>

[SPring−8] トップアップ低エミッタンス電子ビーム運転 蓄積リングで成功

 高輝度光科学研究センターはこのほど、SPring―8の蓄積リング(=写真)で、従来に比べ約3倍明るい高輝度X線を安定供給するトップアップ低エミッタンス電子ビーム運転に成功した。

 低エミッタンス電子ビーム運転は、放射光のもとになる電子ビームの空間的広がりを小さく抑え(電子ビームの低エミッタンス化)、位相空間密度を増加させる手法。こうした電子ビームからの放射光はシャープになり、輝度が上がる。これにより一層微細な構造を解明できるとともに、測定時間の短縮や効率的な実験も可能になる。

 低エミッタンス電子ビーム運転は02年11月に試験的に導入されたが、電子ビームの高密度化により、電子同士が反発して蓄積ビームが減少するという問題などが発生、03年10月に一旦中止していた。今回、電磁石システムの一部改良などを実施、04年から行っているトップアップ(継ぎ足し)運転と組合わせた。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.