[原子力産業新聞] 2006年2月23日 第2320号 <3面>

[ロシア] ウラン濃縮センター構想 イラン問題等の解決目指す

 プーチン大統領は3日、ロシアが提唱しているウラン濃縮センター設立計画について、「核不拡散体制は維持しなければならないが、幅広い国際協力も受け入れる」と述べた。これは、核燃料サイクル・サービス提供のための多国間センター構想が、イラン問題を含め、重要問題の政治的・外交的な解決を目的としていることを強調したもの。

 同大統領は、1月31日、原子力発電所用の核燃料を必要とする国が利用できるウラン濃縮センターは「原子力クラブ」の諸国によって設立されるべきと述べている。

 プーチン大統領は、「高度な技術を持つスタッフ、包括的な原子力インフラを備えたロシアは、こうした問題を解決するのに適している」と発言。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、ロシアの核燃料サイクルサービス構想を、イラン問題を解決する「起点」だとしていることから、この構想により、イランが核兵器製造技術を入手する懸念を排除できるとした。

 しかし、ウラン濃縮をロシア領土で行うというロシアの提案に対し、アフマディネジャード・イラン大統領は「核燃料の供給が途絶える事態が生じたらどうするのか。イラン国民は騙されない」と述べた。

 ロシアのラフロフ外務大臣は、イラン大統領の声明は根拠がないとし、「以前から、ブシェール原子力発電所やその他の平和利用目的のためにロシアは継続的な核燃料供給保証の重要性を指摘している」と述べた。

 一方、ロシア連邦原子力庁のキリエンコ長官は、「ウラン濃縮センターは、ロシアに1つ、そして国際的には主要地域に4、5か所あれば十分。ウラン濃縮国際センターの他に、使用済み燃料管理国際センター、国際原子力訓練センターの設立も必要」と述べた。

 キリエンコ長官はまた、旧ソ連時代の原子力省MSMの技術的資産の復元・拡大のため、民生用原子力技術サイクル全体を統合する国営公社の設立が必要とし、各要素を垂直統合した国営公社「アトムプロム」設立の構想を明らかにした。旧ソ連の中規模機械省(後の原子力省)の原子力インフラの大部分は、ソ連解体後はロシアにあるが、一部は他の独立国家共同体(CIS)諸国にある。カザフスタンはウランを採鉱し、ウクライナはタービンを製造している。


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