[原子力産業新聞] 2006年3月2日 第2321号 <2面>

[エネ調原子力部会小委] TRU処分事業の審議を開始 6月メドに「考え方」取りまとめ

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会の放射性廃棄物小委員会は23日、第6回会合を開催、TRU廃棄物処分事業に関する審議を開始した。

 原子力委員会が技術的には可能とした高レベルとの併置処分の扱い、国の関与、立地促進、費用確保、実施主体など多くの課題に取組む。今年6月頃までに同委員会としての考え方をまとめる予定。

 今会合で資源エネルギー庁は検討課題を示した。まず放射能レベルに応じた処分方法(浅地中、余裕深度、地層)毎の実施主体のあり方が大きなテーマ。現行制度で低レベルは、発生者責任の下で民間による廃棄事業だが、高レベルは「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき、国の認可法人である原子力発電環境整備機構(NUMO)が処分する。このためTRUも原則としては民間事業となるが、エネ庁は、民間だけで地層処分を含む長期事業を安全に安定的に遂行可能か、社会的信頼性や地元の理解を得られるか、立地地域の確保が可能か、などが課題と指摘した。

 委員からは、「少なくとも余裕深度と地層処分に相当するTRUは国の監督責任が必要であり、高レベルと同様な制度にすべきではないか」、「電力事業者単体で処分場の立地地域を探せるか疑問」、「制度の検討と併せ廃棄量を減らす技術開発も重要」などの意見が出された。併置処分に関しても、「NUMOは立地活動を続けており、これから併置処分を提案することで活動に影響が出ないか」との指摘もあった。

 今会合では日本原子力研究開発機構と電気事業連合会が昨年9月に公表した第2次TRUレポートについても説明。六ヶ所再処理施設とMOX燃料加工工場の40年間操業、原子力機構関係、海外返還などを合わせたTRUの推定発生量は浅地中約8万8,000立方m、余裕深度約2万5,000立方m、地層約2万7,000立方mなどを報告した。なお、電気事業分科会のコスト等検討小委員会が一昨年に試算した地層処分TRUの処分費用は単独で8,100億円、併置で4,700億円。昨年施行された再処理等積立金法のもと海外返還廃棄物、六ヶ所再処理工場から発生するものについては電気事業者が積立てている。


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