[原子力産業新聞] 2006年3月2日 第2321号 <3面>

[PIME] 原子力は「クール」 広報会議がウィーンで開幕

 世界の原子力広報関係者が一堂に集う会合「PIME」が、今年はオーストリアのウィーン国際センター(VIC)で2月12〜16日に開かれ、原子力が「クール」と見なされる最近の潮流などについて、発表と意見交換が行われた。この会議は、国際原子力機関(IAEA)、フォーラトム、OECD・NEAが共同で開いたもので、約200名の広報担当者が集まった。

 米原子力エネルギー協会(NEI)コミュニケーション担当副理事長のS.ピーターソン氏は、ファッション誌「ELLE」(=写真)に、2006年の「クールで新しいもの」トップ10に原子力が入ったことを指摘、世論の変化に気付くべきだと指摘した。

 同氏は、エネルギー価格の高騰が原子力を肯定的に見るきっかけとなったと述べた。米国では、気候変動への懸念と、エネルギー・セキュリティとエネルギー源多様化の必要性が認識されつつあり、これが米産業界の新規原子力発電所建設への意欲をかき立てる要因となっている。

 NEIが昨年8月に行った米国人1,000人を対象にした調査では、70%が原子力を支持しており、3分の2が既存のサイトに新規原子力発電所を建設することを容認している。原子力発電所64か所から半径10マイル以内の住民1,000人を対象にした調査では、80%以上が原子力を支持し、76%が既存サイトへの新規原子炉建設を容認するという結果が出た。

 ピーターソン副理事長によると、消費者は、石油やガスの価格高騰で打撃を受けており、原子力を再考し始めている。エネルギーの供給と需要、地政学的要因、気候変動とクリーンな大気等も、原子力への支持の要因となっている。一方、原子力に関する主な懸念として、安全と廃棄物問題を掲げている。


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