[原子力産業新聞] 2006年3月9日 第2322号 <1面>

[安全委員会] 地層処分研究でパネル 東京で研究成果報告会

 原子力安全委員会は3日、コクヨホール(東京・港区)で安全研究成果報告会「放射性廃棄物の地層処分について」を開催(=写真)、各研究機関が放射性廃棄物安全研究の成果について報告するとともに、パネル討論により、今後の地層処分研究のあり方について考察した。

 本報告会では、安全委の策定する「安全研究年次計画」に基づき実施される高レベル廃棄物、TRU廃棄物の地層処分に関する安全研究の成果が紹介された。

 続いて、「米国における地層処分の安全研究の動向」と題して、安俊弘カリフォルニア大学バークレー校準教授が特別講演。このなかで、米国の使用済み燃料が将来増えることが予想され、また米国がこのほど発表したGNEPでは再処理技術開発の方針が示されていることから、米国が核燃料サイクル全般の中でバックエンド政策を見直していく必要があると指摘した。

 パネル討論では、規制行政庁からは、伊藤洋一原子力安全・保安院放射性廃棄物規制室長が「安全規制は立地地域とのコミュニケーションのベース」と述べ、審査指針類のデータ整備に反映される安全研究の重要性を主張するとともに、研究側に規制側の意向がよく伝わる必要性を訴えた。

 透明性・独立性の問題では、大江俊昭・東海大学工学部教授が、あらゆるデータを開示しても理解する人は少ないとして、むしろ「各が各の責任のもとで、真面目に答えを出していることを透明性を持って示す」姿勢が重要とした。


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