[原子力産業新聞] 2006年3月9日 第2322号 <1面>

[エネ調査・検討会] 保守と保安で2WG 信頼性重視保全など5月に報告

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の検査の在り方に関する検討会は2日、第15回会合を開催、今後の検討の進め方などについて審議し、保守管理と保安活動管理を技術面から検討するワーキンググループ(WG)の設置を決めた。両WGは5月までに各5回程度の会合を重ね、報告を取りまとめる。

 同検討会は再開後3回の審議で、状態監視技術活用による信頼性重視の保守管理、保守管理を含めた保安活動管理の効率化などについて審議してきた。両WGはこれらを踏まえ、それぞれの技術的課題について検討する。

 保守管理検査WGは、現行の時間計画保全中心の定期事業者検査に依存した手法から脱却、信頼性重視保全を視野に入れ、最新の技術的知見の活用を含め基本的ルール、実施方法などを明確にする。またこうした保守管理の適切性を規制当局が検査で確認する制度・手法の在り方についても検討する。主査は飯塚悦功・東京大学大学院教授。

 保安活動検査WGでは、@新たな保守管理手法の導入を踏まえた保全プログラムの適切性の確認方法A保安調査を含めた保安検査官の活動の在り方B事業者活動を包括的に評価するパフォーマンス評価の実施方法や品質マネジメントシステム上の不備の把握・是正方法――などを検討する。主査は岡本孝司・東京大学大学院教授。両WGについて委員からは「産業界から積極的な提案が必要」などの意見が出された。

 今会合では、電気事業連合会がこれまでに出された意見・質問に答え、運転中と停止中の検査項目の選定と頻度の見直しなどをあらためて要請。また日本原子力技術協会の石川迪夫理事長は「90年代、各国は日本を学ぶとともに状態監視の導入により成績を逆転させた。技術進歩に即した検査が必要であり、保守のため年1回定期的に原子力発電所を止める必要はない」と提言した。


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