[原子力産業新聞] 2006年3月23日 第2324号 <1面>

[エネ調・総合部会] 国家エネ戦略で取りまとめ案 原子力などに数値目標

 総合資源エネルギー調査会の総合部会は22日、第2回会合を開催、新・国家エネルギー戦略の中間取りまとめ案を審議した。省エネ、原子力発電などで5つの数値目標を設定するのが特徴。原子力発電は原子力政策大綱の「30〜40%という現在の水準かそれ以上」だが、より明確な表現を求める意見も出された。

 中間取りまとめ案は、実現目標、基本的視点、留意点、数値目標、戦略項目の概要などで構成。実現目標ではエネルギー安全保障の確立、エネルギー問題と環境問題の一体的解決、アジア・世界のエネルギー需給問題克服への貢献の3テーマを掲げた。

 数値目標は、@30年までにエネルギー効率を30%改善A同じく一次エネルギーに占める石油依存度を現在の50%から40%を下回る水準に低減B同じく運輸部門の石油依存度を現在の100%から80%程度に低減C30年以降も原子力発電比率を30〜40%程度かそれ以上とするD30年までに石油輸入量に占める自主開発比率を現在の15%から40%に高める――の5項目。

 こうした目標に対する具体策は今年5月の最終取りまとめまでに盛り込む予定で、今回の案ではその概要を示した。原子力は電力自由化や需要が伸び悩む中での新増設・リプレースの実現、軽水炉技術を前提とした核燃料サイクルの早期確立、FBRサイクルの実現などを掲げている。

 原子力に関して委員からは、「原子力について国民に大胆に問うべき時期ではないか。原子力推進を記述する際には、相変わらず安全を大前提にとの枕詞を付けないと書けないという状況。国内原子力発電所のリプレース時期が近い、核利用を巡る世界のせめぎ合い、などの状況を国民に訴えるべき」(鳥居委員)、「発電比率30〜40%かそれ以上との表現は曖昧。政策大綱に捉われ過ぎることはない」(内藤委員)、「曖昧な表現ではなく別の表現に変えても良い」(山地委員)、「これまでの規制緩和や自由化政策の評価とこれらの方針転換に対する哲学を示すべき。これを示さない限り原子力にこれ以上踏み込めない」(河野委員)、「研究開発などで政府一体と言い難い面がある。記述だけでなく、実際にしっかり実行して頂きたい」(柴田委員)などの意見が出された。


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