[原子力産業新聞] 2006年3月23日 第2324号 <3面>

[G8エネ閣僚会議] 「高度技術での国際協力を」 サミットでエネ安全保障が議題に

 主要先進8か国のエネルギー担当大臣は、15、16の両日、モスクワで閣僚級会合を開き、7月にサンクトペテルブルグで開かれるG8サミットで主要議題の1つに取り上げられている世界的なエネルギー安全保障などについて協議した。同会合には、日本から経産省の西野陽・副大臣、米国からは米エネルギー省(DOE)のボドマン長官、ロシアのフリスチェンコ・産業エネルギー相などが参加した。

 冒頭演説を行ったフリスチェンコ氏は、原油価格高騰によって、貧しい国々が影響を受け、世界全体の経済成長が阻害されていると総括。原油高はまた、他のエネルギー資源価格を上昇させていると述べた。同氏は、信頼できる国際的なエネルギー輸送システムが必要だとし、ガスパイプラインの拡充のほか、国際的な電力供給ネットワークの設置を提案した。

 同氏はまた「高度なエネルギー技術分野」についても先進国が協力する必要性を強調、国際エネルギー機関(IAE)がこの分野で2030年までに1兆7,000億ドル(約200兆円)の投資が必要としていることを指摘した。一方、世界的にテロの脅威が高まる中で、フリスチェンコ大臣は、「原子力発電所、パイプライン、港湾等の重要エネルギー施設の脆弱性調査などで、国際協力を進めていくことが非常に重要」とも述べた。

 米国は、この閣僚級会合を、2月に発表した国際原子力パートナーシップ構想(GNEP)など、先進クリーンエネルギー技術の推進の場と位置付けるとともに、ボドマンDOE長官は、カーネギー国際平和財団のモスクワセンターでGNEPについて講演を行った。

 同長官は、「米国とG8諸国は、エネルギー供給の中断の影響の緩和、市場原理にもとづく投資の促進、汚染物質を放出しない原子力発電、再生可能エネルギー、クリーンコールなどの先進クリーンエネルギー技術の開発などで協力を推進・強化しなければならない」と述べた。


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