[原子力産業新聞] 2006年3月30日 第2325号 <1面>

[原子力安全委] 安全白書まとまる 「安全文化」醸成を考察 28日に閣議報告

 原子力安全委員会は28日、05年版原子力安全白書を閣議に報告した。今回は、「安全文化の醸成」を特集、安全文化に関する国際的動向とわが国の取組について述べ、事業者の優良事例を紹介した上で、今後の安全文化醸成に必要な事項を考察している。過去の安全白書では、94年版で安全文化について取り上げられた。

 白書冒頭で、松浦祥次郎・安全委員長は、昨今の「原子力ルネッサンス」と呼ばれる動きを、世界的事情の変化から原子力利用に加えられる力が「負」から「正」に転じてきたと指摘。現用原子炉の高経年化、新規炉比率の伸び悩み、熟練技術者の引退、若手参入の減少といった原子力先進諸国にみられる状況を発電炉の「少子・高齢化現象」と例えて、これらが安全確保活動へ及ぼす影響を危惧した。その上で、安全確保の実を向上し、社会的信頼を回復・維持していくため、「安全文化の向上と堅持」、「高経年化対策」、「社会的意思疎通」への一層の努力の継続が不可欠として、今回特集に安全文化を取り上げた意義を述べた。第一編「安全文化の醸成」では、事業者の優良事例として、@経営層による現場訪問Aトラブルを模擬体験する装置B電力会社とグループ会社が一体となった保修業務への取組――の3件について、事業者による具体的取組を紹介している。


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