[原子力産業新聞] 2006年3月30日 第2325号 <3面>

[G8] 「原子力は不可欠」と確認 エネ相会議が共同声明

 今月15、16の両日、主要先進8か国(G8)のエネルギー担当大臣が、今年7月のG8サミットに先立って、モスクワで会合を開いた。この会合でエネルギー相らは、21世紀には世界のエネルギー消費量が「著しく上昇」し、原子力を含めた多様なエネルギー源が不可欠になることを確認した。

 この会合の共同声明でエネルギー相らは、代替エネルギー源があるにもかかわらず、21世紀の前半には、化石燃料が「世界のエネルギーの基盤であり続ける」と確認。また、世界の「エネルギー安全保障のリスクを減らすため」、多様なエネルギー源が必要だとし、「長期的に環境に優しい持続可能なエネルギー供給源の多様化を望む国々にとっては、安全で確実な原子力の大規模開発が重要」と強調している。

 米エネルギー省(DOE)のボドマン長官は、「地球規模のエネルギー問題の解決には、国際的な視野と多面的な実施が必要であり、原子力の拡大が不可欠であることは間違いない」と述べた。同長官はまた、国際原子力パートナーシップ(GNEP)におけるロシアの役割を歓迎し、「世界は経済成長を維持するとともに、特に開発途上国での生活水準を向上させるため、クリーンなエネルギーを必要としている。プルトニウム量を減らし、炭素排出量を低減し、核拡散リスクを減らす新たな手段を必要としている。GNEPプログラムは、そのための一手段だ」と述べた。

 一方、ロシアのプーチン大統領も、GNEPが原子力を拡大するための主要国による「野心的な計画」だとし、「開発途上国も含め、主要国以外の国々も、原子力エネルギーを利用できなければならない」と発言した。

 同大統領はまた、「国際ウラン濃縮センターのネットワークを作るという我々の構想の見通しは明るい。この構想はエネルギー不足問題の解決に役立つばかりでなく、国際安全保障にとっても極めて重要であると認識している。原子力技術の不拡散体制を強化することに役立つ」と述べた。


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