[原子力産業新聞] 2006年4月6日 第2326号 <1面>

「原産協会」が発足

 日本原子力産業会議が改組改革され、「日本原子力産業協会」として4月1日に発足した。

 近年続いた事故・不祥事によって信頼が損なわれた原子力産業界の建て直しのため、約2年前に原産自ら始めた民間原子力産業団体改革の仕上げであり、昨年4月に発足した日本原子力技術協会と対になる組織。新協会は「原子力産業の基盤強化と再活性化」を目的に、@理事を20名に削減し機動的に行動する経営A目的を明確にした事業展開B透明性を前提に自立・自律的に行動する組織C50年を経た事務局の近代化――をめざしている。

 現在、日本の原子力発電は世界第3位の規模に成長し、燃料サイクルも民間再処理工場が試運転に入ったところであり、準国産エネルギーとして電力の安定供給と地球温暖化ガスの排出削減に大きく貢献している。

 しかし原子力産業界は軽水炉利用などで成熟期に達した一方で、原子力に対する社会の信頼確保、コスト競争力の向上、円滑な技術継承など様々な課題にも直面。

 原産協会はこのような課題の改善に向けて「政策提言、規制対応、情報発信」を主要な活動として「政策本部、規制本部、情報本部」制を敷き、さらに国際・産業基盤強化本部および総務本部を加えた5本部制とした。各本部は3名の常務理事が分担して担当し、6月の通常総会での役員改選を機に経営体制を整え本格的な活動に入る予定。

 3日朝、原産協会発足にあたって職員に訓示した宅間正夫副会長は「新しい原産協会は一言で言えば、政策提言集団として提言の発信とともに、額に汗して多くのステークホルダーに働きかけてその実現をめざす」と述べ、「物言わぬ産業界から物を言う産業界へと行動様式を変革する」と強調した。また当面の事業目標としては、@原子力に対する社会の信頼回復A原子力の市場価値・資産価値の向上B積極的な国際展開――を挙げた。


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