[原子力産業新聞] 2006年4月6日 第2326号 <1面>

[原子力部会] メーカー再編など議論 「各社の市場戦略が重要」

 経済産業省は29日、東京・千代田区で総合資源エネルギー調査会の第9回原子力部会を開催、原子力発電プラント製造や核燃料サイクル産業など、戦略的に重要な原子力産業の在り方について説明、議論を行った。

 経産省は、世界的に原子力産業の再編・集約化を通じた寡占化が進む中、我が国としても相当規模の産業を確保する必要があるとしながらも、「非効率な産業を長期的に維持するのは無理」、国内の原子力産業は国際競争力を持たなければならないと強調した。

 欧米では新規発注が少なくなったため、1980年代から2000年代まで欧米の原子力発電プラントメーカーが国境を越えて再編を繰り返してきた。この結果、米国のGEとWH、仏アレバが生き残り、それぞれESBWR、AP1000、EPRといった新型軽水炉を開発、これを武器に世界中への売り込み合戦を展開していると分析。

 一方、日本では「少ないながらも新規建設が継続されてきた」ため、日本のメーカーについては「設計、製造、建設技術面で圧倒的な優位性を有する」と強調する一方、海外市場への対応は遅れており、独自開発炉の国際認知度が低いことなどを問題視している。

 国内で今後10年程度は新規発注が見込めるため、各社ともある程度の企業規模の維持は可能としながらも、「その後の状況は不透明」とし、メーカー等が「内外の市場戦略をどう描いていくか」が最大のポイントと指摘。経産省としては国内各メーカーが体力を失って、「国際的な影響力を喪失する事態」を警戒する。

 このため我が国のメーカーが、国際市場で競争する原子炉のコンセプトやターゲット市場を明確にし、国内外を問わず、連携の相手企業や分野、形態等を戦略的に検討、率直な意思疎通を図ってくことが必要とする。

 委員からは、「国際競争力を持つメーカーが必要。プラント保守の効率化のためにも、メーカー間で異なる部品の共通化を。輸出では運転ノウハウの移転等で協力する」(伊藤委員)、「海外では寡占化が進んでいる。国内でもどのように寡占化させるか議論を」(植草委員)などの意見が寄せられた。


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