[原子力産業新聞] 2006年4月6日 第2326号 <2面>

[原子力機構] FBR実用化戦略フェーズU報告書を提出 ナトリウム冷却炉を主概念に

 日本原子力研究開発機構と日本原子力発電は3月30日、FBRサイクル実用化戦略調査研究フェーズUの最終報告書をまとめ、文科省の原子力分野の研究開発に関する委員会に報告した。

 報告書は5年間の成果として、研究開発の重点化および15年頃までの研究開発計画とそれ以降の課題を示したもの。

 フェーズTでFBR候補はナトリウム冷却炉、ヘリウムガス冷却炉、鉛ビスマス冷却炉、水冷却炉の4種類あったが、この中から安全性・経済性・環境負荷低減性・資源有効利用性・核拡散抵抗性という開発目標への適合性を多角的に検討し、ナトリウム冷却炉(=図)を主概念とした。燃料は先進湿式法再処理と簡素化ペレット法燃料製造(酸化物燃料)を組み合わせる。

 電気出力150万kW、原子炉建屋にこれを2基設置するツインプラントを想定。システム簡素化のため2ループ、配管は二重化する。建設コストは目標の20万円/kWの90%程度に低減できる可能性があるとし、増殖比1.1を確保し平均燃焼度9万MWd/tと連続運転期間26か月を見込む。

 今後の技術革新に対するバックアップ代替技術として、@ナトリウム冷却炉+金属電解法再処理+射出鋳造法燃料製造(金属燃料)Aヘリウムガス冷却炉+先進湿式法再処理+被覆粒子燃料製造(窒化物燃料)―の2種類を挙げた。

 15年度頃までに商業ベースでの実用化像を提示する計画。このため、10年までに要素試験研究成果に基づき採用する革新技術を決定する。研究開発の留意事項として、軽水炉・プルサーマル・FBRなどの使用済み燃料を効率的にリサイクルする将来の再処理施設への先進湿式法の適用性確認、国内の総力を結集した研究開発体制、国際協力、多角的な資金確保などを挙げた。


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