[原子力産業新聞] 2006年4月13日 第2327号 <1面>

自由化の在り方とりまとめ 電力自由化と原子力小委

 経済産業省は10日、第4回目の「電力自由化と原子力に関する小委員会を開催。同小委から電気事業分科会への報告をにらみ、原子力の観点からみた自由化の在り方を取りまとめるとともに、原子力発電における新規参入者(PPS)の位置づけを議論を行った。

 以前から一部委員が、「2030年に原子力発電が総発電電力量の3〜4割以上」との原子力政策大綱目標を具体化すべきとの意見を出していた。経産省は先ほど発表された06年度供給計画で、13基の新・増設案件が掲げられていることから、これらの新・増設を着実に実現するため、「国は事業環境の整備を行い、電気事業者は最大限努力する」。この13基が建設された場合、2017年の原子力発電シェアは、稼働率77%で36%、稼働率90%で42%程度となる。

 築館委員は、来年度から予定されている更なる自由化の検討について、「まずは現行の自由化制度の評価をしっかりと行う必要がある」として、慎重な議論を要望した。

 経産省は「原子力の観点から見た自由化」についてとりまとめた。この中で、これまでの電力自由化は、@独占や総括原価主義によるコスト回収の保証がなくなったA競争によるコスト圧縮のため設備投資抑制圧力が高まったB電力間競争の圧力が高まりつつある――などから、「原子力発電の新・増設に影響を与えた可能性がある」と指摘。今後の自由化に関しても制度自体が不透明化するリスクがあるとして、慎重に審議を行うべきとの態度をにじませた。


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