[原子力産業新聞] 2006年4月28日 第2329号 <3面>

米、既存原発で水素製造 民間企業とFS実施 総費用の80%まで補助

米エネルギー省(DOE)は13日、既存の商用炉を利用した、安全でCO2を排出しない水素製造方法を探る可能性調査(FS)を実施すると発表した。今年度予算として160万ドル(約1億8,400万円)を割り当て、FS参加チームを米産業界から募集し、FS総費用の80%までを補助する。

S.ボドマンDOE長官は「原子力発電所からの電力は、温室効果ガスを排出せずに水素を製造できる可能性がある。水素はエネルギーの将来にとって重要な要素であり、このクリーンなエネルギー源を原子炉から生産することで、米国はエネルギーの海外依存度を低下させることができる」と、同FSへの強い期待を述べた。

DOEはブッシュ大統領の提唱する先進エネルギー・イニシアチブ(AEI)を推進するため、2007年度予算でAEIに21億ドル、原子力水素イニシアチブ(NHI)に1,900万ドルを要求している。

これにより、エネルギー供給での飛躍的な進歩を目指すDOEのクリーン・エネルギー研究向け予算が22%増となる。

今回発表されたFSはNHIの一環として実施され、商用炉を利用した水素製造の経済性・環境影響・必要とされる法規制などの検討を行う。実施期間は3年間の予定。

FSに参加できるのは、米企業のプロジェクトチームで、原子力発電事業者がチームに加わることが条件付けられている。


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